抄録
被覆管外周部に水素化物が集積した高燃焼度PWR燃料被覆管の水素化物リムはRIA時の破損挙動における初期クラック(き裂)の役割を果たしていることが照射済燃料のNSRR実験などにより示されている。
水素化物リムより内面側の水素化物がRIA時破損挙動に与える影響を調べるために表面予き裂導入(RAG)被覆管に水素を添加した後EDC(Expansion Due to Compression)試験を実施した。
一般には予き裂長さに対する応力拡大係数で被覆管の破損が整理できたことから、内面側の水化物が破損挙動に及ぼす影響は小さいと考えられる。ただし、予き裂先端に径方向成分を持つ水素化物が析出する場合は、応力拡大係数による評価において内面側水素化物の影響を考慮する必要があることが分かった。