糖尿病学の進歩プログラム・講演要旨
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セッションID: BS-1-3
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シンポジウム:特殊な管理を要する糖尿病治療
透析
*栗山 哲
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抄録

糖尿病透析患者の管理で重要な事は、血糖と血圧管理である。I:血糖管理 糖尿病透析患者においても血糖管理の三大原則は、食事療法、運動療法、インスリン注射などの薬物療法である。しかし、一般に腎不全の病態が比較的高カロリー食を要することや、ASOや視力障害による運動療法の制限などから、血糖管理の主体は透析療法自体とインスリン治療である。透析療法が、血糖コントロールに及ぼす影響は透析液のブドウ糖濃度が一因である。血液透析の透析液中ブドウ糖濃度は、通常100-150mg/dlに設定されている。従って、高血糖状態の患者では透析により血糖が低下し、一方、低血糖状態では血糖は上昇する。一方、腹膜透析の場合の透析液には、1.5%、2.5%、4.25%と高濃度のブドウ糖が入っているおり、この一部は腹膜から吸収され体内に入ることから血糖管理は一般的には悪化する。経腹膜的ブドウ糖吸収は1.5%2Lブドウ糖透析液では60Cal、2.5%ブドウ糖透析液2Lでは120Cal程度のエネルギーと概算される。例えば、一日に1.5%ブドウ糖濃度透析液2Lを4回交換している腹膜透析患者では、食事以外に経腹膜的に240Cal摂取されることになる。これらの患者では、摂取カロリーを若干減らすかあるいは、インスリンの増量などを考慮せねばならない。HbA1c 6.5%、FBS 120mg/dl、食後2時間血糖 200mg/dl以下を目標とする。一般に経口糖尿病薬は、体内蓄積から遷延性低血糖があり避けることが望ましい。薬物療法の原則はインスリン皮下注であり、基礎分泌と追加分泌を補う。透析性が低い長時間作用型インスリンは避けるべきである。2型糖尿病では1日2回中間型、不安定型では1日3_から_4回の強化インスリン療法が奨められる。食事療法は、カロリー摂取は30 Cal/kg/日程度とする。適切な運動量としては、激しいスポーツより軽いジョギングや歩行、軽い水中遊泳などが推奨される。 _II_:血圧管理 糖尿病透析患者では、溢水状態が強いため利尿薬やCa拮抗薬などの体液量抑制薬(V-drug)は欠かせない。一方、糖尿病のすべての病期においてACE-IやARBなどレニン抑制薬(R-drug)の脳・心・腎機能保護作用のEBMは枚挙に暇が無い。従って、血圧管理の原則としては、V-drugとR-drugの併用療法を基本とすべきである。

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© 2005 日本糖尿病学会
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