抄録
症例は76歳、男性。40歳頃から肝障害を指摘されていた。平成10年8月食道靜脈瘤のEISとS3、S8の肝細胞癌(HCC)にPEIT施行。平成13年7月S5にRFA施行。平成13年12月S3のHCCを部分切除。平成14年6月S6-7のHCCにRFAとS4HCCにTAE施行。糖尿病に対しインスリン治療開始。平成15年7月肝性脳症。平成15年8月血糖コントロール不良のため当科に紹介となる。HCCの広範な再発あり、TAE、RFAでのコントロールも不能な状態で、以後も肝性脳症を繰り返す。血糖コントロール不良(ノボリン30Rインスリン42-0-12単位使用で食後2時間血糖456mg/dl)のため平成16年7月入院となる。身長160cm、体重50kg、入院時FPG212mg/dl、HbA1C9.2%、グリコアルブミン50.9%、インスリン抗体(インスリン結合率95.8%、総インスリン840μU/ml、遊離インスリン89μU/ml)、AST54U/L、ALT44U/L、ALP502U/L、T-Bil1.78mg/dl、D-Bil1.25mg/dl、γ-GTP96U/L、TP7.2mg/dl、Alb2.8mg/dl、速効型インスリンの持続靜注、超速効型インスリン、持続型糖尿病溶解インスリン、ピオグリタゾンン併用など試みているが、血糖コントロール不良(食前血糖300から_400mg/dl台)が続いている。現在インスリン投与総量は1日500単位以上。大量のインスリン投与でも血糖コントロールが改善しない1症例を提示したい。