抄録
本稿は、2012年7月に開催されたシンポジウム『災害と家族』において行われた鹿目久美氏と田並尚恵氏の報告に対するコメントと、その後8か月たった2013年3月に考える「東日本大震災が家族にもたらす影響」について記すものである。
本稿前半部では、鹿目久美氏と田並尚恵氏の報告から得られた知見を確認する。後半部では今後家族が震災から復興し、「日常生活」を取り戻していくために今日検討しておきたい「世帯分離」の意味について考える。今後の家族生活の再建にどのような道を示唆できるのか、そのためにはどのような研究が必要なのかについて試論を記す。