2023 年 45 巻 2 号 p. 142-146
上矢状静脈洞部の硬膜動静脈瘻(SSS-dAVF)は稀な疾患だが,さらに頭頂部の急性硬膜外血腫(VEDH)を続発した非常に稀なSSS-dAVF症例に対し,血管内治療を施行した1例を報告する.症例は28歳男性.頭痛契機にVEDHを指摘された.外傷歴はなく,脳血管撮影を含めた精査を行い,中硬膜動脈が流入血管となるSSS-dAVFと診断した.VEDHに対しては急性期保存加療を行ったが,シャント病変による再出血の可能性を懸念し,亜急性期に経動脈的流入血管塞栓術を実施した.治療によりシャント血流は消失し,術後神経症状の悪化なく良好な経過をたどった.VEDHを続発したSSS-dAVFは,渉猟し得た限りで報告がなく,非常に稀な病態と思われた.外傷歴のないVEDHの病態評価には脳血管撮影が特に有用であり,VEDHを伴ったSSS-dAVFに対しての血管内治療は,安全かつ有効な治療法となり得た.