東アジアへの視点
Online ISSN : 1348-091X
【所員論考】コロナ禍の日本経済を予測・推計する
坂本 博
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2020 年 31 巻 2 号 p. 36-49

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抄録

本研究は,コロナ禍で大きく落ち込むと見込まれる日本の都道府県経済の状況,すなわち 「県内総生産」を予測・推計する。通常,予測・推計には過去のデータが参考になるが,コロ ナ禍の極端な状況においては,このまま使用することは適切でないと考えられる。そこで, 本研究では,コロナ禍によるマイナス成長部分をモンテカルロ実験で求めた。その際,分布 区間が確定し,非対称である三角分布に従う乱数を発生させた。また,都道府県の状況の違 いを三角分布に反映させるために,ある時点での累計感染者数の情報を用いた。結果,-10% を超えるマイナス成長になる可能性がある都道府県(東京都,沖縄県,福岡市)とマイナス 成長が概ね-5%以内にとどまる都道府県(岩手県など)に分かれた。また,この仮定の導入 により,県間所得格差が縮小する可能性があることが判明した。なお,全国においては,平 均的に-5%を少し超えるマイナス成長になる見通しである。

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© 2020 公益財団法人 アジア成長研究所
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