「持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)」とは,2015 年9 月の国
連持続可能な国際サミットで全会一致で採択された「我々の世界を変革する持続可能な開発
のための2030 アジェンダ(行動計画)」の中核をなす世界的開発目標である。現在日本では,
内閣官房に推進本部が設置され(本部長:内閣総理大臣),関係省庁の連携および政府,地
方自治体の協力関係の下で,官民一体による推進が積極的に図られている。しかしながら一
方で,SDGs の実行段階における障害として,①多すぎる目標,②理解が容易でない,導入
方法がわからない,③法的拘束力がない,指標のためのデータの未整備,などの問題点が指
摘されている。
以上の背景から,今後,多くの自治体がSDGs 推進の際に求められる方向性について明ら
かにすることを目的に,本稿では,SDGs を積極的に推進する国内主要都市である北九州市,
横浜市,さいたま市におけるSDGs 推進体制の状況や取り組みについての調査を実施した。
また,自治体が構築するSDGs 推進体制に対して企業がどのように応え,具体的な取り組み
によって成果をあげているかといった点にも注目し,企業の取り組みの状況についても調査
した。以上の調査から比較検討を行い各自治体が構築するSDGs 推進体制を含めたSDGs へ
の取り組み状況の成果と課題を整理した上で,SDGs 推進にむけた方向性についての簡単な
提言を行いたい。
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