抄録
ボリュームデータを用いた 3 次元物体の可視化技術の一つとして,ボリュームレイキャスティングが知られている.この手法は,表示スクリーン上の各ピクセルから発生する光線に沿って,一定間隔のリサンプリング点で三重線形補間により算出された不透明度を用いて,ボリュームデータを可視化するものである.しかし,CTやMRなどで撮影された断層画像列から再構成される医用ボリュームデータは,膨大であり,効率的な処理を行うことができない.そこで我々は,入力ボリュームデータの局所特徴量の変化に基づき,ボリューム空間を再帰的に四面体二分割し,階層的な適応的四面体グリッドをクラックが発生することなく,並列に生成できるアルゴリズムを提案した.本論文では,クラックが発生しないことが保証されたこの適応的四面体グリッドを用い,レイに沿って隣接している四面体を,高速かつ少ないメモリ使用量で効率的にレイキャスティングする方法について提案する.