抄録
訓練用や研究用シミュレータにおいて没入感・臨場感を得るためには,広視野と高解像度を持つ表示システムが必要となる.これらをコストパフォーマンス良く実現する方法として,近年複数のプロジェクタにより大画面を構成するプロジェクタ複合表示技術が期待されている.従来からレンズによる光学的な歪み補正は広く用いられているが,スクリーンサイズが固定される,位置合わせや輝度の調整が複雑になるなど多くの問題がある.筆者らは,上記課題の解決方法として,CV技術を用いた映像の自動補正,特に,カメラを任意の位置に計測せずに配置し,これと異なる視点位置から見て歪みなく映像を統合する「仮想カメラ法」を開発してきた.今回は,前手法を広視野角スクリーンに適応させた「マルチプルショット・キャリブレーション」について報告する.