抄録
人が3次元モデルの類似比較を行う際の判断には,形状そのものに加え,形状の持つ意味が大きな影響を及ぼす.本研究では,データベースに付与された(複数の)意味カテゴリを学習することにより3次元モデルデータベースの検索性能を向上させる手法を提案し評価する.このアプローチはテキストや画像などのメディアの検索では報告されているが,3次元形状モデルの検索では報告されていない.その理由は,カテゴリあたりのサンプル数が少ないカテゴリを同時に多数学習することが,既存の教師つき学習アルゴリズムでは困難だったためである.本論文の手法ではまず,特徴量の張る非線形の多様体を教師なし(ラベルなし)の多数のモデルから学習し,これを用いてカテゴリ分けされた(比較的少数の)モデル群の特徴量を精製する.次いで,それら精製特徴量とそのカテゴリ・ラベルを教師つき学習アルゴリズムで学習する.実験的に評価した結果,提案する(教師無し+教師有り)の学習手法を用いると,教師なし学習や,教師あり学習を単体で用いた場合よりも高い性能を,より低い次元数の精製特徴量を用いて得ることができた.