抄録
現在のオンラインでの商取引において、食品, ブランド品, 医薬品などの模倣しやすい偽造品の流通は, 経済面や安全面で深刻な社会問題となっている. この問題に対して, インクジェットプリンタで印刷された2次元コードの, ミクロスケールでのインクの配列が, 複製困難な性質を利用した真贋判定システムを提案する. 提案システムは, スマートフォンで撮影された画像に対して, 高速に類似画像の検索を行うLocally Likely Arrangement Hashing(LLAH)と, 高精度な特徴量マッチング手法Accelerated-KAZEを組み合わせることで, 真贋判定を可能とした. 本論文では, 合計15,000枚の大規模データセットでの検証を通じて, 精度, 識別性, 速度などの様々な観点から, 本システムの高い有効性を示した. また, 産業利用を想定した追加検証を通じて, 本システムが産業用メディアへの印刷, コストカットを目的とするモノクロ印刷への拡張性や, 回転, スケール変化, 汚れなどへの耐性も確認した.