日本建築学会論文報告集
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超音波斜角探傷法による溶接欠陥の評価 (II)
加藤 勉古沢 平夫森田 耕次
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1976 年 244 巻 p. 21-31

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抄録
限られた範囲での実験のため, 一般的な結論を導くことは不可能であるが, 得られた結果を以下に示す。1)欠陥寸法の大きい範囲では, 継手の静的強度に対する欠陥断面率の寄与率がその他の因子の寄与率と比較して圧倒的に大きい。しかし, 伸び率に対しては溶接工法の相違による寄与率も相当大きくなる。2)溶接欠陥の作成方法によるものと推察されるが, 溶接欠陥種類の別が継手の静的強度および伸び率に与える影響度に差が見られなかった。3)炭酸ガスシールドアーク半自動溶接, 被覆アーク溶接, シンガスアーク半自動溶接の順に溶接欠陥による継手の静的強度および伸び率への影響度が大きくなる。4)継手の静的強度および伸び率に関して, 板厚60mmの試験体は板厚25mmおよび40mmの試験体よりも溶接欠陥の影響を受け易い。5)欠陥個数が1個の場合も2個の場合も, 欠陥断面率が同じならば, 継手の静的強度および伸び率への影響度は同じである。6)継手の一様伸び率に関しては, 破断面の脆性・延性の別, 試験体寸法別の影響をそれ程受けない。欠陥断面率を2%以下に押えれば, 5%の一様伸び率が確保しえた。7)薄板, 中板の突合せ継手の場合は欠陥長さによる合否判定にもある程度の合理性も認められるが, 厚板の場合は事情が異なる。8)欠陥エコー高さは継手の静的強度とあまり関係が認められないので, 欠陥の合否判定に当っては欠陥エコー高さを過信しない方がよいと判断される。9)薄板, 中板の突合せ溶接継手の静的強度を対象とする限りでは, 危険を冒してまで欠陥断面率を推定しない方が無難といえよう。
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© 1976 一般社団法人日本建築学会
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