日本建築学会論文報告集
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鋼管を用いた鉄塔の風力係数に関する実験的研究 : 第 1 報 正四角形断面鉄塔の抗力係数
卯月 英夫亀井 勇
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1981 年 310 巻 p. 22-31

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抄録
従来, 鉄塔などの架構構造物に鋼管を用いることは, 耐風設計上, かつ, 経済的な立場からも利点が多いと指摘されていた。しかし, 実際の鋼管鉄塔の耐風安全性を検討する場合は, 風洞実験により設計用抗力係数を決定しなくてはならなかった。そこで本論文は, 鋼管鉄塔の設計時に必要ないくつかのパラメータの解明を試みた。結果を要約すると以下の様になる。(1)鋼管鉄塔に対するReynolds数の影響は, 主柱材の直径が大きい場合, もしくは投影率η_<(θ)>が大きい場合は, 塔体全体としてR_e=5.0×10^5付近で抗力係数の低下が認められた。(2)鋼管鉄塔の設計時に重要な, 抗力係数C_<D(θ)>と投影率η_<(θ)>の関係を風向角0度の場合のみならず, 風向角が変化した場合も投影率η_<(θ)>=0.1〜0.9の範囲で明らかとした。また, この抗力係数C_<D(0)>は立体トラスのままで求められているため, 部材間の干渉, 前後面および側面トラスの干渉など, いっさいの補正を必要としないのが特長である。(3)構面を構成するガセットプレート面積比による抗力係数C_<D(θ)>への影響, 平面材の有無による抗力係数C_<D(θ)>への影響についても解明した。以上, 鋼管鉄塔の耐風設計時に必要となるいくつかのパラメータについて解明した。しかし, 本稿では正四角形断面を有する鉄塔についてのみを取り扱ったため, 他の断面形状についても, 本稿と同様に解明を行った時点で抗力係数を任意の角度で決定できる実験式の誘導を試みるつもりである。最後に, 本研究を進めるに当たり御助言下さいました, 日大, 生産工学部講師, 丸田栄蔵氏, 並びに, データの整理に御協力下さいました, 大学院生の大谷和男君に厚く謝意を表します。
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© 1981 一般社団法人日本建築学会
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