抄録
サインの視探索時間算定式および平均情報量の概念に基づき, サインの繁雑さを示す尺度 : 繁雑度および相対繁雑度を定義した。実験に用いた標本における定量化した値, および, サインの物理的要素を簡略化した測定法を用いて新宿西口地下通路および大手町地下鉄連絡用通路における定量化した値により, その変域をみると0から3.00前後にわたり, 一般的には1.00から1.50の値が多いことがわかる。ついで, 繁雑度とサインの視探索時間の関係についてみると, 同一サインもそれが設置される情報フィールドの繁雑度の値によりその視探索時間も大きく変化すること, および, すべてのサインが均等に視探索されるような建築空間では, 相対繁雑度を1に近づけるようにサイン配置すべきことが明らかとなり, サインの視探索を通しての建築空間の評価尺度として有効であることを見い出している。