建築學會論文集
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ボルトと隅肉熔接とを併用した接手の強さに關する研究 (續報)
鶴田 明
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1938 年 9 巻 p. 159-166

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抄録

ボルトと隅肉熔接とを併用した接手に關し、前囘報告後引續き行ひたる實驗結果を報告せるものであつて、前囘實驗がボルト1本とそれに稍々強さの匹敵する熔接とを併用したものに限る實驗であつたに反し、今囘のものはボルトの數と熔接の長さとを種々に變じた場合の兩者の協力状態を研究する事を目的としてゐる。 今囘の實驗結果は次の如く要約し得る。 (1)今囘の實驗に於ては、熔接部の靱性の増加と隅肉寸法を増大した事によつて、ボルトと熔接との協力作用が相當長く續き、或種のものはボルトの破斷近く迄協力作用が行はれた事を認め得る。 (2)最大荷重時に於ける状態を以て設計し得るものと假定すれば接手の強さをP,ボルトのみの強さをB,熔接の強さをWとして、P=0.85(B+W)、又はP=0.67B+Wなる式によつて計算した計算値が比較的よく實驗値と一致し、之等の式の持つ意味を度外視すれば、實用的には何れの式によつて設計するも差支へない。 (3)實驗の結果P=K_BB+K_WW式による方が、P=K_BB+W式を用ふるより一層合理的である様に思へる節あるも、今囘の實驗のみよりK_B及K_Wの値を決定した得ず、今囘の研究に譲る。 (4)P=K(B+W)及びP=K_B+Wの兩式に於て、Kの値及K_Bの値は、ボルトの數に對し熔接の長さが増すに從つて、前者は増加、後者は減少する傾向を示してゐる。

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© 1938 一般社団法人日本建築学会
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