2021 年 30 巻 2 号 p. 24-34
クロマグロの天然資源管理が進む中,天然資源に依存しない完全養殖やゲノム編集技術の開発による家魚化が進む.本稿では,ゲノム編集技術を使って作出された完全養殖に適したマグロを事例に消費者受容を分析した.選択実験の結果,ゲノム編集技術の利用に否定的な消費者が多く,技術の応用により完全養殖マグロの価格をどの程度下げられるかが普及のカギとなる.ただし技術になじみのない回答者も多く,技術への理解を深めてもらうことや技術が資源管理に有用であることを周知すること,倫理的消費に関心をもってもらうことなどが評価を改善する上で有効である.