2021 年 30 巻 2 号 p. 73-85
本研究では,UAV(無人航空機:Unmanned Aerial Vehicle)が発生させるダウンウォッシュを有効利用することで散布範囲をコントロールし,農作物の特徴や生育状態に合わせたスポット的な薬剤散布を行うシステムの構築を目標としている.スポット散布を実現するためには,気流の特徴や分布および気流による液滴の挙動を解析する必要があるが,実地実験による解析には限界がある.そこで,実際の散布状態を可視化できる実機を用いた実験システムに加えて,散布シミュレーションシステムを新たに構築した.シミュレーションシステムにより,機体の動的挙動も含めた気流および液滴の挙動を解析することが可能となり,圃場環境の変化に対応したスポット散布の設定等の効率的な検証が実現できる.
そこで,まず基礎実験として噴霧ノズルの位置や姿勢を変化させた時のシミュレーション結果と実機を用いた実験結果を比較することにより,シミュレーションモデルの検証を行った.噴霧ノズルの位置や姿勢,液滴の噴霧角を変化させ比較検証を行った結果,散布範囲の変化や特徴に関して実機を用いた実験結果と同様のシミュレーション結果が得られることを確認した.また,シミュレーションにおける気流や液滴の挙動を詳細に解析することで,大規模な計測装置を用いずに実験結果の解析が可能となることも確認できた.