2021 年 30 巻 2 号 p. 86-95
本研究では,畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いて果実画像の生育度分類を行う場合に,果実拡大率の影響を明らかにする.生育度分類に用いた果実画像は,リンゴのふじとあいかの香りであり,果実が膨らみだした時期から収穫直前まで約2週間毎に撮影し,撮影日に基づく生育度を数値としてクラス設定した.果実画像の果実拡大率は,0.462–6.000倍の範囲で13段階に設定して,果実拡大率毎に学習を行った.学習済CNNを用いてテスト用画像を分類した結果,果実拡大率は,ふじで0.545と1.000の時に,あいかの香りで0.500,0.600,1.000の時に,正解率が高くなった.また,両品種とも,果実拡大率が1.000から増加するにともなって正解率が減少した.これらから,CNNが生育度分類を行う際には,果実の輪郭や周辺領域を参照しており,また,果実全体の色彩分布を参照していると推察された.両品種ともに,果実拡大率1.000のときに正解率が高かったことから,本研究では,スマートフォンで果実を撮影した時に,果実拡大率が約1倍になる果実画像が自動で切り出され,推定生育度が自動表示される生育評価アプリケーションを例示した.