農業情報研究
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原著論文
臨時雇用者の短期育成のための促成指向AI農業学習モデル
久寿居 大島津 秀雄神成 淳司
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2023 年 32 巻 1 号 p. 26-37

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抄録

農業では農閑期に農繁期と同じ雇用を維持することはコスト面から難しく,農閑期に合わせて雇用を確保し,農繁期には臨時雇用者で対応している.しかし,臨時雇用者は年間を通じて農業に従事しているわけではなく,毎年同じ人を雇用できるとは限らないし,雇用できた人が対象とする作業に知見や経験を持っているかは不確定である.また,年度によって気象や園地や作物の状況は異なり,その年の状況に合わせて作業を行う必要がある.限られた時間で作業を円滑かつ一定水準で行うため,その都度臨時雇用者を指導することになる.

本論文では促成指向AI農業学習モデルを提案する.提案モデルでは,作業の種類を限定し,「その時その場の作物」に対象を限定することで,ITに関する特段の知識のない農業専門家である指導者が,その時その場に即した学習問題を短時間で作成可能とする.学習者は,対象となる作業を行う直前に,その学習問題を解くことで作業の実行に必要な判断の仕方を学習する.本研究では,提案モデルを実装した促成指向AI農業学習支援システムを試作し,実際の農業現場で,指導者が学習問題を作成し,未経験の臨時雇用者に学習させる実証実験を行った.本システムのライブラリ機能を用いて指導者だけで学習問題を作成できること,学習問題を解くことで臨時雇用者の作業の質の向上に効果があることを検証した.

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