2025 年 34 巻 2 号 p. 19-25
北海道の一部の畜産生産者は,放牧地を細かく区切り牛群を牧区から牧区へと移動させながら放牧を行う(ローテーション放牧).この方法は,放牧地を最大限活用するために有効だが,牧区毎の草丈を短い周期で計測する必要があり,生産者にとっては手間であった.本論文では,トレイルカメラとラバーポールを放牧地に設置し,撮影された画像から得られた草丈の情報を,コミュニケーションアプリを用い生産者に通知するシステムを開発した.トレイルカメラは携帯電話ネットワークに接続し画像をメール送付できるものを利用した.ラバーポールは草丈を調べるための高さ指標として用いた.具体的には放牧地画像のラバーポール部分(オレンジ色)を,Pythonコードを用いて抜き出し,牧草によるラバーポールの「隠れ具合」を定量し草丈データを推定した.また,画像ファイルを草丈データと共に毎日決まった時間に生産者らに通知するコードをGoogle App Scriptを用いて構築した.本システムは生産者の時間を取ることなく放牧地の管理をアシストすることができるため,より効率的な草資源の活用に繋がる.