抄録
11世紀から20世紀に至る千年の間に、中央日本を襲った台風の記録を収集した。気象観測記録の無い近世以前については、古文書の日々の天気記録から台風の襲来日を判定した。時代が古くなるほど記録の得られない年が多く、襲来台風の正確な数を知ることはできないが、台風シーズンにあたる6月から10月にかけて、旬毎の襲来比率を世紀単位で比較してみることによって時代的な違いの有無を推定してみた。温暖な世紀には8月下旬—9月下旬の間に、半数以上の台風が襲来する。ただし、9月上旬にその前後より率が低くなる。寒冷な世紀には、9月下旬が襲来のピークでその前後に向かって比率は漸減している。また8月下旬—9月下旬の期間を合わせても、比率は40%程度である。温暖期と寒冷期で襲来時期にずれがある理由はまだ解明できていないが、台風シーズンの大循環パターンの違いが直接の原因ではなかろうか。観測時代の台風の動向資料を詳しく解析してみる必要があろう。