抄録
本研究では, 時間地理学の方法を用いて、日中都市における住民の生活活動の国際比較を試みた. 分析には, 日中各3都市(長野県下諏訪, 愛知県日進, 埼玉県川越, および遼寧省大連, 河北省天津, 広東省深せん)での調査データを用いた. 生活活動データの比較分析の結果から, 中国都市における生活活動の特質を次のように総括できる. (1)中国都市では外出活動のどの面をとっても, 夫と妻の間に大きな差が認められない. (2)日本の都市では自宅を中心として3重の同心円構造をもつ活動空間の分化が一般的に見られるが, 中国都市では徒歩圏の外側の活動空間に明瞭な分節は確認できない. こうした中国都市における主婦の就業形態を支えているのは, 保育制度の充実と比較的手軽に利用できる家事サービスの存在である.