抄録
今後、急速な高齢化が予想される中国における高齢者介護の担い手について、文献資料と聞き取り調査によって検討した。よく知られているように中国では女性の職場進出が進んでいることから、日本のように主婦を中心とした家族介護を自明に期待することはできないが、一方で政府による高齢者福祉サービスの整備は端緒についたばかりの状況にあり、量的な不足は否めない。そうした状況にあって現在の中国都市においては、都市·農村戸籍制度の結果として生み出された大量の流動人口によって提供される相対的に安価な家事サービスが、都市高齢者の介護に大きな役割を果たしていることが明らかになった。