抄録
鹿児島県吉田町五反田地区のシラス開析谷北向き斜面においてシラストンネルの調査を行った。まず、斜面下部を踏査しトンネルの存在を確認し、その結果、少なくとも10カ所のトンネル·パイプをみることができた。これを便宜的にトンネルA∼Jとし、本発表では現在拡大中と考えられるトンネルAの調査結果を報告する。トンネルAは、崩壊斜面下部に形成された高さ2.5m·幅4.5m·奥行き8.2m程度の広がりをもつ。ただし、奥に5.2m行ったところでトンネルの大きさは急激に縮小し、幅0.8m·高さ0.4m程度になる。最深部や側方から4ヵ所の湧水がみられ、流量は0.12m3/secであった。トンネル内の右半分は、天井からの落下と思われる1m程度のブロック状の堆積物がある。また、5月∼6月の2ヶ月間でトンネル内部側壁の小規模な剥離·落下とトンネル天井部の落下が起こった。これらのことから、トンネル下部は流水による側方侵食、側壁から天井にかけては規模は小さいが頻度は大きい剥離·落下と規模は大きいが頻度が小さい剥離·落下とが発生することによってトンネルは拡大していくものと考えられる。また、基盤を確かめるためにトンネル内外で簡易貫入試験(N10値)を行った。その結果、トンネルAの基盤は少なくとも1m下にあり、他の研究同様トンネルは難透水層直上に形成されていることはわかったが、横断的な基盤の形状を確認する必要がある。しかしながら、水流があるところなども加味して考えると、シラス堆積以前の谷にトンネルは形成されるのではないかと考えられる。