抄録
パタンナールは世界で最も豊富な動植物相を保有するといわれる大湿原である. 本研究は, パンタナールの中でも早くからエコツーリズムが発展した北パンタナールをとりあげ, エコツーリズムの実態とそれを支える地域基盤を分析することから, パンタナールにおけるエコツーリズムのあり方を検討した. その結果, (1)公園道路やRPPN(国家財産としての保護地域)のような自然保護地域を湿原内に面的に拡大すること, (2)農場を拠点としたエコツアーの企画と農場関係者に対するエコツーリズムの教育, (3)水と大気の循環を視野に入れた広域的な自然環境保全政策の必要性があることが確認された.