抄録
薩摩硫黄島における地下水の水質·同位体組成の特徴と, 同島における地下水の起源について検討した. 島内の地下水の大部分はNa-Cl型の水質組成を示す. これに対して, ウタン浜温泉の一部と東温泉はNa-SO4型の水質組成を示す. ウタン浜温泉および東温泉はpH2∼3程度の強酸性泉であり, 火山活動の影響を強く受けているものと考えられる. 長浜地区における地下水の同位体比は天水線上にプロットされることから, 同地区の地下水はほぼ天水起源と考えられる. また, 穴の浜温泉は海水とほぼ同じ同位体組成を示す. 坂本温泉は天水と海水の単純混合系と考えられる. ウタン浜温泉についても, δダイヤグラム上では天水と海水の混合線上にプロットされる. これに対して, 東温泉は天水·海水·マグマ水の3成分混合により形成されていることが推定された.