抄録
デルタ形成開始初期の堆積物や堆積システムの特徴を明らかにすることは, 海水準変動に対する沿岸域の応答を考える上で重要である. 本研究では, ベトナム北部に位置する紅河デルタを調査対象地域とし, 2001年に掘削したコアの解析結果を中心に, デルタの発生過程や堆積物の特徴を検討した. 堆積物は色調や粒度, 堆積構造などから大きく4つのユニットに区分された. 堆積物は約8.2kyr BP以降に堆積しており, その速度は, 8.2-6.3kyr BPまでは>10m/kyrと大きく, 6.3kyr BP以降は急激に小さくなる. 堆積物のサクセションや年代値から, 紅河デルタでは海水準上昇中 (8-6kyr BPの間) に海退すなわちデルタの形成が始まり, コア採取地点付近では上方への堆積物の累重が活発に起こっていたと考えられる.