抄録
本研究は、青森県中津軽郡相馬村において運行されている住民負担型路線バスを事例として、日本における公共交通の存続運動を社会的(アンチ·プラグマティック)な側面から考察したものである。過疎地域の住民は、公共交通機関を単なる移動手段としてプラグマティックに捉えている訳ではなく、心情的な理由から公共交通の存続や充実を求める傾向があること、そして当該傾向は、地域的·属性的に均質なものではなく、既存の結節点から相対的に隔絶した地域ほど、また成壮年層よりも高齢者層において顕著であることが明らかになった。そして実際の意識形成においては、前者が一義的に、後者が副次的に作用するものと考えられる。