抄録
本報告は醤油醸造業の転換点となった近代化事業を通じて醤油産地の変容を明らかにすることを目的とした. 対象地域の金沢市大野町は29の中小醤油業者が集積し, 近代化事業による集約化工場が設置された醤油産地である. 醤油醸造業の近代化事業は高度経済成長期に拡大した大手と中小の格差の是正と生産効率の改善を目的として実施された. 金沢市大野町では1970年に生揚げ段階までの協業化がおこなわれた. これにともない高品質な製品を安定して生産できるようになった. また, 設備投資などの負担減もあり多くの業者が存続できた要因となった.