抄録
本研究では、岡山県佐伯町奥塩田と中央町大垪和西の事例を中心として、土地利用の状況や変化から棚田の放棄·荒廃の特徴とその要因について検討し、当該地区の棚田保全の現状を営農状況や施策との関連性にも焦点をあてて検討していき、保全の可能性を探ったものである。両地区とも団地化した棚田の放棄·荒廃が見られ、農業従事者の死亡、農道の未整備、農業機械の導入困難、地形との関連も指摘できる。保全の現状として、奥塩田は石積み畦畔を整備して残すようにした。一方、大垪和西では経営基盤の確立が棚田での営農とその条件につながっている。保全への課題は、(1)団地化した放棄地の一体的な管理(2)集落活動の実施、(3)景観面、(4)水利慣行などの機能維持、(5)観光資源化などがあげられる。