抄録
高度経済成長期以降の都市部への人口の過度の流出が続いた山間地域では,家並み保存・再生によって集落の旧態を維持したり,観光開発を目的とした歴史的な家並みを活かした取り組みにより,地域活性化を図っている地域がある.しかし,それらの地域の多くは,結果として,山間地域に一般的に具現している過疎化・高齢化を抑止するには至っていない.そこで,本研究では,家並み保存・再生が地域存続のための主要因となっている山梨県早川町赤沢集落を研究対象地域とし,_丸1_集落の歴史的変遷による空間構造・生活形態の変化の様態,_丸2_過疎化・高齢化の進行や,歴史的・社会的変化の中で,家並み保存・再生を行う必要性と意義,_丸3_家並み保存・再生が地域に対して,どのような効果を与えたのか,_丸4_家並み保存・再生活動に対する居住者意識・評価について明らかにしていく