抄録
1.はじめに日本の空中写真は1940年代から撮影され、100万枚以上の蓄積があり、地形・地質、災害、土地利用、植生などさまざまな調査、研究に利用されてきた。従来の植生図作成方法では、空中写真を判読し、その結果を地形図にプロットしていた。しかし、この手作業による方法では、中心投影で撮影された空中写真と正射投影の地形図との位置ずれによって、精確な位置を転写することができない。本研究では、空中写真を用いたデジタル写真測量によって高解像度DEMを作成し、そのDEMを用いて空中写真のオルソ補正を行った。これによって、過去の空中写真・衛星画像・地形図など異種データとの重ね合わせも可能となる。本研究では、カラー空中写真をRGBの3バンドに分解することで、衛星データ同様に扱い、データ処理を行った。ここで注意しなければならないのは、空中写真のRGBは可視域のみで、植生調査に重要な近赤外域は領域外である点である。オルソ化空中写真の判読から目視で植生図を作成し、これを真のデータとして、衛星データの場合と同じ自動分類によって作成した植生図と比較し、植生図作成方法の問題点を検討した。2.対象地域 対象とした地域は、飛騨山脈の南端に位置する乗鞍岳である。乗鞍岳は、日本の火山としては富士山・木曽御嶽山に次ぐ高さの火山であるが、有史時代の噴火記録はない。植生帯の概略は、2400m以上はハイマツ帯、1500m_から_2400m間は亜高山帯、1500m以下は山地帯となっている。しかし、局地的な植生分布は、傾斜の程度、日射や卓越風の様相、方位および土壌水分収束を決定するラプラシアンのような地形条件の影響を受けているものと思われる。3.使用データ・解析ソフト 解析には以下のデータ及びソフトウェアを使用した。・1977年9月_から_10月に撮影された空中写真61枚・ERDAS社製 IMAGINE 8.5 OrthoBASE Pro 8.5.1・自作Cプログラム、VBプログラム4.解析方法 解析方法の手順を示す(図1)。・テクスチャ分析においては、トレーニングエリア内で9×9ピクセル(パッチ)ごとの平均・標準偏差を計算し、画像全体のパッチごとの平均・標準偏差を正規化した上で類似パッチを探索する方法を採用した。・教師無し(付き)分類においては、ピクセル単位の分類画像(詳細すぎて植生図には不適)に、9×9の空間フィルターをかけ、植生図を作成した。以上の方法で作成した植生図と「真のデータ」とを比較し、精度検証を行った(図2)。
