日本地理学会発表要旨集
2003年度日本地理学会秋季学術大会
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関東及び周辺地域における夏季降水強度の頻度分布の特徴とその地域性
*山本 奈美
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p. 181

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抄録

1.研究目的近年、地球温暖化に伴う集中豪雨の激化やヒートアイランドによる局所的な強い降水の増加などによる夏季の豪雨頻度増加の可能性が指摘されている。しかしながら、豪雨の経年変化に関する既往研究では、豪雨の閾値に関して降水形態の地域性が考慮されてこなかった。そこで、本研究では関東及び周辺地域を対象に、夏季の降水形態の地域性について解析を行った。2.データと解析方法関東と周辺地域の夏季(7、8月)を対象に、1976~2001年のAMeDAS時最大降水量データ(日別値)を用いて、地点毎に階級別降水強度の出現頻度を(1)式の指数関数で近似した。Y = α10-βX  (Y:出現頻度 X:階級別降水強度) (1)降水形態の地域性を表す各地点特有のα(降水日数)、β(降水強度の減少率)の散布図(図1)を作成し、α、βの平均値を基準に4つのグループに分類した。その空間分布を図2に示す。さらに、それらの地域性がより顕著な地点をみるために、平均値周辺のデータを除いた場合(図3)の空間分布(図4)を作成し、その特徴から降水形態の地域性を検討した。参考までに各グループの平均的な地点の降水形態を図5に示す。3.結果と考察 図1の散布図から各グループの降水特性を次のように特徴づけることができる。(図5参照)グループ1:降水日数が多く、降水強度の減少率が小さいグループ2:降水日数が少なく、降水強度の減少率が小さいグループ3:降水日数が少なく、降水強度の減少率が大きいグループ4:降水日数が多く、降水強度の減少率が小さい また、図2、図4の空間分布から、各グループの地域性を次のように特徴づけることができる。グループ1:関東山地の山麓地帯、グループ2:関東平野中央部及び内陸グループ3:海岸沿いグループ4:関東平野中央部及び内陸山地本解析結果から、地域特有の降水形態があることが明らかになった。従って、降水形態の地域性の違いに基づいた豪雨の閾値を求めることの必要性が示された。また、降水形態の地域性の違いの原因については今後の検討課題としたい。

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