日本地理学会発表要旨集
2003年度日本地理学会秋季学術大会
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地形計測におけるDEMの解像度問題
*田中 靖大森 博雄
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p. 184

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抄録
DEMの解像度問題 空間データの高解像度化は,今後も進んでいくであろう.地形データについても,日本では1999年に国土地理院によって50m-DEMの全国整備が完了した.これにより,広域的で再現性の高い地形計測が可能になった.さらに最近では,デジタル写真測量や航空機レーザースキャナの技術の普及により,より詳細で信頼度の高い標高データの取得も可能になりつつある. しかしDEMの解像度は,より高解像であればよいというわけでもない.例えば,平坦面の上に落ちている小さな石の勾配を検知できたとしても,その急勾配は地形計測において意味があるとは言えない.すなわち,対象とする地形のスケールに対して適切なDEMの解像度を設定する必要がある. DEMを用いて山地流域の土砂移動や地形の形成過程を論じるための一つの条件は,DEMから近似的に求められる勾配やラプラシアンの値が,現場における計測レベルに近いことである.しかし,勾配のような微分値はDEMの空間解像度と深い関係がある.例えばGao(1997)は,勾配の分布が,DEMの高解像度に伴って平均値が高くなり,標準偏差も大きくなることを指摘している.しかしここでの検討は,等高線ベクターデータの補間から作成した任意の解像度のDEMを用いた検討で,直接測量による高解像度データを用いた検討ではない.このような検討は,まず直接測量によって詳細なDEMを作成し,そこから解像度を落としながら検討を行う必要がある. そこで本研究では,デジタル写真測量から得られた山地流域の5m-DEM(田中,2001)を用いて,解像度が勾配のヒストグラムに与える影響を示し,地形計測に適した解像度を検討する.地形計測のためのDEMの解像度 図(a)-(d)に,解像度により山地流域の勾配計測値の平均(a),標準偏差(b),歪度(c)および尖度(d)がどのように変化するかを示す.平均勾配値は解像度が高くなるにつれて確実に高くなる.その傾きは,直線でほぼ近似できるほど一定である.標準偏差,歪度および尖度については,共通の二つの明瞭なしきい値となる解像度がある.一つは75m付近である.この解像度よりも粗い時,いずれの計測値も一定の傾向を示さなくなる.もう一つは25m付近で,この解像度付近に計測値の変曲点が存在する.この結果から,75mよりも低解像度のDEMは,日本の山地斜面の計測には十分な解像度ではないことが分かる.また,解像度5m程度のDEMを用いた時の計測値やその分布は,25mよりも高解像度のDEMで検討を行なうことである程度予想できる.文献Gao, J., 1997. International Journal of Geographical Information Science, 11: 199-212.田中(2001). 日本地理学会発表要旨集. 59: 71.
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© 2003 公益社団法人 日本地理学会
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