日本地理学会発表要旨集
2003年度日本地理学会秋季学術大会
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中海干拓事業中止後の環境運動
*淺野 敏久
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p. 59

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抄録
 2002年12月に,事業開始から約40年を経て中止になった中海干拓事業について,事業中止前後の地域,特に市民運動の動向について紹介するとともに,今後の宍道湖・中海地域の環境再生に向けての課題について述べる。 「なにかをつくる」干拓事業は完全に中止になったが,その後始末は今後の課題である。主のものとしては以下のようなものがある。1)代替水源の確保2)中浦水門の撤去3)堤防の開削4)アシ帯の復元5)公共事業依存からの脱却6)斐伊川神戸川治水事業(大橋川拡幅事業) これらの課題について,これまでの市民・住民運動や新しく組織された運動等が何らかの関わりを有している。特に湖の環境改善(水質改善)や自然再生をめざすベクトルは,市民運動が問題を投げかけることで方向が左右されている。行政はこれを如何に吸い上げて利用するかが課題であり,運動側は如何に広く一般に環境再生の理解を広げていくかが課題である。
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© 2003 公益社団法人 日本地理学会
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