日本地理学会発表要旨集
2004年度日本地理学会秋季学術大会
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十和田aテフラの噴出過程と火砕流定置温度の見積もり
*松浦 旅人沢田 順弘三瓶 良和宮本 毅谷口 宏充
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p. 43

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抄録
 1. はじめに 十和田aテフラ(To-a)は,約1,000年前に生じた十和田火山の最新の爆発的噴出物であり,十和田火山周辺に高温の火砕流が流下したほか,噴出後も火山泥流が米代川沿岸の人家を埋没して大惨事をもたらした.本報告では,1. To-aの層相・構成物の特徴から,To-a噴出過程を把握し,次に,2. 炭化木片のH/C原子比温度計(Sawada et al. 2000)を用いた火砕流定置温度を見積もった. 2. 堆積ユニットの対比   Loc.1では,下位からOyu-1,Oyu-2,Oyu-3,毛馬内火砕流が,Loc.2では,Oyu-1,火砕サージ,毛馬内火砕流が観察される.Oyu-1,Oyu-3は降下軽石層,Oyu-2は降下火山灰層(毛馬内火砕流のコイグニンブライト)と考えられている(Hayakawa 1985).各堆積物(マトリクス)の火山ガラスは,発泡形態(吉川 1976)を指標にした構成比率に特徴がみられる.毛馬内火砕流中の火山ガラスはH型を30%以上含むことから,発泡が良い.一方,火砕サージ中の火山ガラスは,H型が30%未満で火砕流中のものよりも発泡が悪く,かつT型を特徴的に含む.Oyu-1と毛馬内火砕流の間にみられる,Loc.1のOyu-2,3,およびLoc.2の火砕サージは,層位および火山ガラスの発泡程度から判断して,同じ噴火ステージの堆積物と考えられる.また,Loc.1のOyu-2は層相から判断して,火砕サージの可能性が高い. 3. To-aの噴出過程   まず,噴煙柱が立ち上がり,降下軽石(Oyu-1)が堆積する.次に,火砕サージ(ベースサージ?)が発生し,Oyu-2が堆積する.その後,再度噴煙柱が立ち上がり,十和田火山遠方では降下軽石(Oyu-3)が堆積する.一方,火山近傍では火砕サージの堆積が継続するが,この時期の火砕サージは,噴煙柱からのFall backによるものも含むかもしれない.最後に噴煙柱が倒れ,毛馬内火砕流が発生した.同時にこの火砕流のco-ignimbriteは降下テフラとして東北日本を広く覆った. 4. 火砕流定置温度の見積もり   十和田湖岸から約1.2kmのLoc.2では,火砕サージ中に炭化木片が発見された.木片が火砕サージに取り込まれた後に炭化したことを確認した上で,木片2個8試料を採取し,前処理を施した後,H/C原子比を測定した(測定方法はSawada et al. (2000)に従う).同じ木片から採取した各試料のH/C比はよくそろう.火砕サージが定置後速やかに冷却したと仮定し,Sawada et al. (2000)のGroup-1の式を用いると,火砕サージの定置温度は,中部が323-369℃,上部が451-459℃と見積もられる. 本研究の一部は,国土地理協会の学術研究助成金を使用した.
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© 2004 公益社団法人 日本地理学会
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