日本地理学会発表要旨集
2004年度日本地理学会秋季学術大会
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大気重心高度の地表面高度および気温依存性
*中川 清隆長坂 裕一
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p. 7

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抄録

GPS気象学において静水圧遅延量を求める際には、GPSサイト上空の大気重心高度に於ける重力加速度の値が必須である。ラジオゾンデデータにより大気全層の空気塊の持つ位置エネルギーの積算値と大気全層の総質量を求め、両者の比の値を標準重力加速度で除して大気の重心高度を求めた。大気重心高度の変動範囲は6.0km_から_7.5kmで、盛夏(7月_から_8月)に最大となる年変化を示すとともに、短期間に激しく振動している。この振動は、地上気温の振動と対応している。大気重心高度の変動と地上気温の変動の対応関係は、寒気移流の場では下層に比較的重い空気塊が存在するため大気の重心が降下し、暖気寒気移流の場では下層に比較的軽い空気塊が存在するため大気の重心が上昇する結果もたらされると考えられる。 ゾンデデータによる大気重心高度Hc(km)の実験式が得られた。決定係数は0.991、標準誤差は±47mである。ゾンデデータから求められる大気重心高度は大気上端部データ欠損により過小評価されているので、この式において大気上端部データ欠損無しとして求めた値は真の大気重心高度に近いと看做せる。この方法により求めた真の大気重心高度は7.2km_から_7.7kmの範囲を変動する。

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