日本地理学会発表要旨集
2004年度日本地理学会秋季学術大会
会議情報

時間範囲別降雨強度式の地域特性
*須田 芳彦
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 80

詳細
抄録
【はじめに】 降雨強度曲線とは,ある再現期間に対して,任意継続時間に対応する降雨量または降雨強度を一つの曲線に表したものである.この曲線に2つの降雨強度式(Sherman式とTalbot式)をあてはめ,これら2つの降雨強度式のパラメータ間の関係とその適合度の高低が地点と時間範囲によってどう異なるのかを調べた.【資料】 日本においては,降雨量極値のほとんどが暖候期(5ー10月)に記録されているので,本研究では暖候期のみを対象とした.用いたデータは,1980ー1989年の10年間にわたるAMeDASデータである.対象地点数は,欠測時間数が対象期間の1%未満である998地点である.【方法】  降雨量データにあてはめる分布モデルとしてガンマ分布,その母数推定には最大エントロピー法を用いた.こうして1ー72時間の17の集計時間に対する10年確率降水量を求めた. 1ー24時間の時間範囲から一つずつずらして10ー72時間の時間範囲までの7つの時間範囲について,2つの降雨強度式を非線形回帰によってあてはめた.【結果】1) Sherman式の n とTalbot式の b が一対一の対応関係にあることは解析的に証明されている(須田 1999)が,この一対一の対応関係は時間範囲によって変化する.さらに,これら2つの変数が時間範囲によってどう変化するかは地点によって異なる.例えば,大津のようにTalbot式の b がほとんど変化しない地点や与那国島のようにSherman式の n がほとんど変化しない地点がある.2) 7つの時間範囲すべてについてSherman式の適合度がより高い地点では,時間範囲によるSherman式の n の変化は小さく,7つの時間範囲すべてについてTalbot式の適合度がより高い地点では,時間範囲によるTalbot式の b の変化は小さい.3) 選択される降雨強度式の地域特性については,南日本でSherman式が,北日本でTalbot式が選択される傾向がある.また,Talbot式が選択される地点では大雨の継続時間がより明瞭であるといえる.【文献】 須田芳彦:水文・水資源学会1999年研究発表会要旨集,16-17(1999)
著者関連情報
© 2004 公益社団法人 日本地理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top