日本地理学会発表要旨集
2004年度日本地理学会秋季学術大会
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庄内平野東縁断層帯・観音寺断層でのジオスライサーによる浅部地下構造調査
*澤 祥山形県 活断層調査委員会津村 建四朗山野井 徹阿子島 功長谷見 晶子八木 浩司小松原 琢
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p. 89

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抄録
1.はじめに ジオスライサーは、未固結の第四紀層浅層部の垂直断面を不擾乱状態で面的に抜き取ることができる調査法で, 中田・島崎(1997)によって開発された。 庄内平野東縁断層の観音寺断層では、2,500年前以降のイベントとそれ以前の2回(4,300_から_5,500年前、6,000_から_6,300年前)の計3回の断層活動が、トレンチ調査(鈴木・他,1989)とボーリング調査(鈴木ほか,1994)によって推定されていた。山形県(2000)はここでのイベント発生時期をより確実にするため、鈴木ほか(1989)のトレンチ断面のさらに下部を直接観察することを検討したが、シルトと砂からなる軟弱層のため大深度のトレンチ掘削は困難であると判断された。そこで、断層を横切る長さ約50m、深度約8m、幅約40cm、厚さ約10cmのジオスライサー21本と深度10_から_40mの試錐5本を実施して地下構造を明らかにしようとした。 ジオスライサーは間隔が最小1_から_2mで打たれ、試料の幅も約40cmのため層相の水平方向への追跡が試錐に比べ容易で、幅広い変形を伴う橈曲主体の活断層での有効性が示された。2.浅部地下構造と観音寺断層の活動性 ジオスライサーによって推定された地質断面は、層相と放射性炭素年代をもとにして上位より_(特)__から_?の8層に分類された。最下部の?層は砂礫層であるが、?層以上は所々に礫を混じえる粘土・シルト・砂からなる細粒物質によって構成される。放射性炭素年代に基づき、?層以下は約35,000年前以前の後期更新統に、?層以上は完新統にそれぞれ対比される。各層の傾斜は下位ほど西傾斜が大きくなり、後期更新世以降の変位の累積をうかがわせる。 層相と傾斜の解析から不整合層準を断層活動期とみなし、3回のイベントが推定された。すなわち、_(特)_層と_(企)_層の間(約3,000年前以降)、_(企)_層と_(協)_層の間(約4,000_から_5,000年前)、_(協)_層と_(労)_層の間(約6,000年前)である。これは、鈴木ほか(1994)とほぼ同様の結果である。 _(協)_層上面(約5,000年前)は、約7m程東上がりに撓み上がるようにみえる。_(協)_層は粘土・砂の細粒物質から構成され、層相から考えてほぼ水平な状態で堆積したものと推測される。_(協)_層上面の高度差を変位量とみなすと、垂直変位の平均速度は1.4m/1,000年と推定される。しかし、地形面の変位から推測された観音寺断層での後期更新世_から_完新世における平均変位速度(上下成分)は、0.5m/1,000年前後と見積もられており(池田ほか、2002)、本研究の結果よりも小さい。
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© 2004 公益社団法人 日本地理学会
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