日本地理学会発表要旨集
2005年度日本地理学会秋季学術大会
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2000-2030年における地域人口の見通し
*小池 司朗山内 昌和
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p. 60

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抄録

_I_ はじめに
 日本は、間もなく人口減少時代を迎えようとしている。今後の市町村の動向を検討する上で、地域人口の見通しを把握することは、基礎的かつ不可欠の作業であろう。
国立社会保障・人口問題研究所では、2003年12月に2000_から_2030年における市区町村別の将来人口推計を公表した(国立社会保障・人口問題研究所、2004)。同推計は、2001年12月末時点の3,245市区町村を対象としたものである。
本報告の内容は、西岡ほか(2004)を基礎としたものである。具体的には、都市圏の規模等を基準に全国の自治体を9つに類型化し、それぞれの将来人口の見通しを、総人口、0_から_14歳人口、15_から_64歳人口、65歳以上人口について分析する。
なお、推計方法は、国立社会保障・人口問題研究所(2004)ならびに西岡ほか(2003)にまとめた。

_II_ 方法
 本稿が依拠する地域類型は、(1)金本・徳岡(2002)が提起した都市圏 設定基準を利用した8地域、および(2)「過疎地域自立促進特別措置法」(平成12年4月1日施行)指定自治体(以下過疎地域とする)、の計9地域である。各圏域の将来推計人口は、それに含まれる自治体の将来推計人口を足しあげたものである。
(1)については、インターネット上で公開されている2000年国勢調査基準の都市圏を利用し1)、全国3,245自治体を、A:東京大都市圏、B:京阪神大都市圏2)、C:中京大都市圏、D:地方中枢都市の都市圏、E:県庁所在都市および中心都市の常住人口30万人以上の都市圏、F:中心都市の常住人口5万人以上30万人未満の都市圏、G:中心都市の常住人口5万人未満の都市圏、H:都市圏に含まれない地域、の計8地域に区分した(以下A地域、B地域などとする)。なお、A_から_Hの分類に際しては、各自治体が相互に重複しないように配慮した )。
(2)については、『平成15年度版過疎対策の現況』(総務省自治行政局過疎対策室、2004)に掲載されている過疎地域(1,167自治体、平成16年4月1日現在)を対象とした(以下I地域とする)。

_III_ 結果
主な結果は以下の通りである。
(1)A_から_I地域のいずれでも総人口は減少に転じ、2030年に2000年よりも総人口が多いのは東京大都市圏などに限られる。
(2)非都市的地域にける2000_から_2030年の総人口の減少に占める自然減少の寄与は社会減少を上回る。
(3)2000_から_2030年にかけて、相対的に出生率の高い非都市的地域ほど0_から_14歳人口の減少が進む。
(4)2000年以降、大都市地域でも15_から_64歳年齢人口は減少する。
(5)2000年時点で老年人口割合の低い地域ほど2000_から_2030年の65歳以上人口の増加率は高い。

<注>
1) http://www.e.u-tokyo.ac.jp/~kanemoto/MEA/uea_frame.htm ホームページ上では、都市圏は大都市雇用圏と小都市雇用圏に分けられているが、本稿では両方を用いた。また、中心都市の人口規模は、複数中心都市圏の場合、中心とみなされた都市の人口の総和とした。
2) 阪神大都市圏は、金本・徳岡(2002)では、大阪市、京都市、神戸市のそれぞれを中心都市とする都市圏として別個に設定されているものを一括して取り上げた。

<文献>
金本良嗣・徳岡一幸2002.日本の都市圏設定基準.応用地域学研究7:1-15
国立社会保障・人口問題研究所2004『日本の市区町村別将来推計人口_-_平成12(2000)_から_42(2030)年_-_(平成15年12月推計)』人口問題研究資料310号
西岡八郎・小池司朗・山内昌和2003.日本の市区町村別将来推計人口_-_平成12(2000)_から_42(2030)年_-_(平成15(2003)年12月推計).人口問題研究59-4:52-90
西岡八郎・小池司朗・山内昌和2004.21世紀前半の地域類型別将来人口の見通し.地域開発482:7-13

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© 2005 公益社団法人 日本地理学会
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