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本研究では,人工気象室における都市と郊外のスケールモデル実験と野外観測資料の解析により,都市の表面形状が晴天静夜のヒートアイランドに与える影響を調べた.スケールモデル実験では都市モデルと郊外モデルとの表面温度差は日没直後に大きくなった後,徐々に減少した.そして長波放射収支量の違いの指標である天空率の大きいところでは気温差に与える影響は小さいことが分かった.長野県白馬村における野外観測資料による同様な解析においても,気温減少量の都市と郊外の差は日没後時間とともに増大し4時間後に最大になり,やがて徐々に小さくなった.しかし,これまでヒートアイランドの調査があった日本の諸都市の結果においてヒートアイランド強度の最大値と天空率の関係は見いだせなかった.