抄録
1.GLOBEとは
「環境のための地球規模の学習及び観測(Global Learning and Observations to Benefit the Environment 以下「GLOBE」という)計画」は、1994年にアメリカ合衆国により提唱された学校を基礎とした環境教育及び環境教育に関する国際的なプログラムであり、参加国は現在109ヶ国(2006年10月現在)にものぼる。
我が国においては、文部科学省の「環境のための地球学習観測プログラム(グローブ)推進事業」及び環境省の「こどもエコクラブ」事業により本プログラムに参加している。天草市立御所浦中学校は第3期校として、平成13・14年度の2カ年にわたってグローブ校として指定を受け、グローブ活動に取り組んできた。
このグローブ活動では、マニュアルに従った観測活動(大気・水質・土壌・土地被覆・生物季節など)のほか、地域性を生かした独自の観測活動を実践し、米国のGLOBEデータ処理センターへ観測結果を報告することで最新の情報を活用した世界規模の環境学習へと発展させることができる。
2.研究主題
グローブ活動を通して、環境について自ら学び・考え・行動できる生徒の育成~地域に根ざした環境教育の実践・研究を通して~
3.研究の実際
グローブ活動の観測は、定時観測については毎日当番が行い、定期観測は毎週ローテーションで行った。また、これら以外の環境活動として、「LIFE WORK」(総合的な学習の時間)では第3学年を中心に次のような調査活動に取り組んだ。(表1)
表1 「LIFE WORK」調査活動テーマ一覧
班 テーマ
1 植物を使った大気汚染の実態調査
2 烏峠(古屋敷川)の水質調査
3 酸性雨が与える植物への影響
4 土の酸性度と植生
5 御所浦の気象観測(観測データの活用)
中でも、酸性雨の実態については、月ごとのデータから見える酸性雨の頻度や平均pH、町における被害の実態など詳細な研究に取り組んでいた。
4.研究の成果
グローブ活動前後における生徒の意識調査は表2の通りであった。
表2 生徒意識の変容
質問項目 事前 事後
グローブ活動に対する理解 86.7 91.7
環境について知識・理解 85.9 91.7
環境への興味・関心 84.4 88.3
生徒は、年3回の発表会を通して学校内外へ自分たちが学んだ環境について情報を発信することで、地域への環境啓発活動とつなげていた。