フィリピン東方の西部北太平洋暖水域ではSSTが特に高く、このような高SST域
では台風が発生しやすいと考えられている。最近の研究により、北半球夏季に
は、暖水域南部のミンダナオ島の南東沖に低SST域が出現することが明らかに
なってきた。この低SST域は、冷たい亜表層水が、夏季モンスーンに伴う強い
南西風によって鉛直方向に混合されることによって生じる(Sato et al. 2006)。
夏季には暖水域の北部でSSTが高くなっているため、気候平均場においても、
SSTの南北勾配が生じている。本研究では、このようなSST分布と台風の発生と
の関係を議論する。