日本地理学会発表要旨集
2007年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: P603
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阿武隈川上流域および釈迦堂川流域の水環境保全・再生に関する地理学的研究(3)
GISを活用した小流域汚濁負荷量解析
*中山 祐介小寺 浩二清水 裕太
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抄録

1.はじめに
 第一報では、一級河川阿武隈川、上流域の主要支流である釈迦堂川、さらにその支流で須賀川市の市街地を流れる下の川と、スケールの異なった3河川を対象に、様々な水文環境情報をデータベース化し、比較検討を行った。
 続く第二報では、阿武隈川の水文環境を把握するために支流域の詳細な負荷量解析を行った。解析は釈迦堂川流域を対象に行い、字単位で発生要因により畜産、生活、農地の3種に分類して計算した。また、現地水文観測の結果から、下水道施設からの排水による点的負荷がかかっている地域や、人為的な流量変化により汚濁濃度が高まっている地域が存在し、本流へ与える影響も大きいことが示された。
 本研究では、阿武隈川流域を対象にDEMを活用して小流域を抜き出し、各主題図と重ね合わせ、汚濁負荷量を算定し、今後の流域水質管理上の問題点を検討した。

2.対象地域概要
 阿武隈川本流は那須連峰旭岳に源を発し、福島県中通り地方の田園地帯やいくつかの市域を北流後、阿武隈渓谷の狭窄部を経て宮城県岩沼で太平洋に注ぐ、幹川流路延長239km、流域面積5,400km2の一級河川である。また、阿武隈川支流の代表的な様相を示し、現地水文観測地点が多い釈迦堂川流域を対象に小流域原単位法を検討した。

3.研究方法
 3.1.現地水文観測  阿武隈川流域全域にて、月一度の頻度で2005年6月から2007年7月まで、水質の年間変動を把握するために現地水文観測を行った。現地水文観測は現在も継続中である。
 3.2.小流域原単位法  釈迦堂川流域を対象に、大流域内の小流域の流域特性を考慮し、負荷量を算定する小流域原単位法を実践した。負荷の算定の対象はCODに限定し、汚濁負荷の発生要因を畜産、生活、農地に分類して汚濁負荷量を解析した。なお、水系網の抽出や小流域界の判断には50mグリッドDEMによるラスタ解析を用いた。

4.結果・考察
 季節変動を追った現地調査結果から、5月の代掻き期後に水質が悪化する傾向が見られた。閾値の妥当性が高いconditional-300から小流域を作成し、それぞれに畜産、生活、農地の3種に分類して汚濁負荷量を算出した結果から、農業由来の負荷だけでなく、畜産由来の負荷の比率も高いことが分かった。

5.おわりに
 本研究から、釈迦堂川流域の小流域ごとの地域特性が明確となり、今後の流域水質管理上の問題点が明らかとなった。今後は、土地利用図からさらに詳細な流域汚濁負荷量を解析していきたい。

参考文献
黒澤幸二・高橋幸彦・佐藤洋一・中村玄正・牧瀬統・松本順一郎(1999):阿武隈川上流域の汚濁発生と水質特性、用水と廃水、41-11、pp.1024-1032.
中山大地(1999a):DEMからシミュレートした流路網と手作業により抽出した流路網の対比,法政地理,29,pp.28-37.
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© 2007 公益社団法人 日本地理学会
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