抄録
都心の大規模緑地によるクールスポットの形成に加え、密集市街地における海風の減衰、オープンスペースにおける風通しを評価する目的で、東京の芝公園を海風卓越方向に横断するパスに沿った周辺数地点において2006年の夏季に集中野外観測を実施した。主として8月19日~21日に、気温、湿度、放射温度、風向、風速、放射収支の観測を行った。
観測期間中、気温は公園内樹林地が常に最も低くなっており、市街地より最高で5℃、公園内裸地より2℃ほど低い。これらは海風の進入以前と思われる14時以前においてより顕著であった。また、公園の風上側市街地および風下側市街地においては水蒸気圧が低く、公園部では高いという傾向があり、特に日中において顕著であった。放射温度は風下側市街地で特に高く、公園内樹林地で最も低い値となり、その差は日中10℃近くに達した。
観測期間中、港区役所屋上では南東の風が卓越しており、風速の平均は約2.0m/sであった。13時~15時の間、風は相対的に弱く風向も安定していなかったが、15時以降南東の風が強まり、海風の影響はこの時点からと思われる。風上側市街地では風速の平均は約0.7m/sとやや小さいが、公園内では南から南西よりの風が吹き、風速の平均は約1.2m/sであった。一方風下側市街地では約1.0m/sであり、東から南東方向の風が卓越していた。水蒸気圧は15時頃から上昇に転じ、海風の進入を裏づけていた。
また7月26日~27日に、芝公園周辺を見渡すことのできる東京プリンスホテルパークタワー屋上からのサーモカメラによる熱画像撮影を実施した。日中は建造物の屋上が高温となっているが、建造物の側面については冷房のためか比較的低温となっている。夜間は逆に屋上で温度が低く、側面がより高温となっている。夜間は日中に比べて地表面被覆間の温度差は小さく、日の出とともに温度差は大きくなっていく。