日本地理学会発表要旨集
2007年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: P837
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砺波・富山平野の集落・屋敷林と気候の関係
*田畑 弾
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抄録

 砺波平野、富山平野の屋敷林の分布と、気圧配置による特定の気象条件を持った強風を比べて、屋敷林が広域に分布する地域において、屋敷林の分布や形態を、1975年に国土地理院によって撮影されたカラー空中写真の判読から、地形図に転記した1kmメッシュ毎に卓越林帯方向、所有率を計算・図化し、1996~1998年の富山県内のAMeDASと消防署における風向風速の毎時のデータを使用し、11m/s以上の強風時の値を気圧配置によって、各地点ごとに風向別に累積した風速の分布を図に現し、気圧配置によって吹く強風に対した屋敷林の防御の効果を考察した。その結果は、以下の通りである。

 (1)屋敷林の卓越する方向が西の割合が強い地域は、砺波平野北部・富山平野北部(呉羽山の北側)で、富山県で強風が発生するすべての気圧配置との対応が出ている。呉羽山の西側では屋敷林の高所有率メッシュも存在する。

 (2)屋敷林の卓越林帯方向が南の割合が強い地域は、基本的に日本海低気圧型、北海道周辺に低気圧がある型との対応が出ている。これに対応する地域は富山平野南部~東部であり、南成分を持ったおろし風が丘陵の風上から吹き降ろし、これと谷からの「だし風」と合流した所が強風域となることが、屋敷林の高所有率のメッシュが多い地域となる。

 (3)砺波平野南部の井波、城端周辺は、日本海低気圧型のときに吹くおろし風の影響が強い。また、この地域では、北海道付近に低気圧が存在する場合は、南東~南西の、主に谷の方向から吹く風が累積している。
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