日本地理学会発表要旨集
2009年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: 105
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ナミブ砂漠の季節河川、クイセブ川流域の環境変化と植生遷移
*水野 一晴
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抄録

ナミブ砂漠はナミビアの西岸に位置し、寒流のベンゲラ海流の影響で成立している。ナミブ砂漠の季節河川、クイセブ川沿いには森林が分布しているが、地域によっては多くの樹木が枯死している(Mizuno, 2005;Mizuno & Yamagata, 2005)。この研究の目的は近年の環境変化と樹木枯死との関係を明らかにすることである。
 2007年11月に、前年1月以降の降水によって発芽したアカシア・エリオロバの実生の根が調査された。検討したアカシア・エリオロバは、2006年1月以降2007年11月までの2年以内に樹高が10cmになり、根は230cm以上までのびた。アカシア・エリオロバは、稚樹(実生)の段階では、湿潤な細粒な土壌(砂質シルト)層まで深く主根をのばし、そこに側根を発達させて水分を吸収していた。細粒土層からの水分供給では個体維持ができないほどの成長段階に達すると、樹木は地表から50cm以内の浅い深さに無数の側根を広げ、霧などによる地表付近の湿った水分を吸収している。
近年の洪水減少により地表に厚く砂が堆積すると、地表付近の側根が水分を吸収できないためアカシア・エリオロバが枯死しているのではないかと考えられる。1970年代半ばまでは、以前堆積した砂を新たな洪水がそのつど洗い流し、枯死することはなかった。しかしながら、近年、とくに1980-1985年には、洪水日数が著しく減少して多くの樹木が枯死した。その原因として最も考えられるのは、洪水の減少による砂の堆積と地下水位の低下である。

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