日本では,2007年10月の地域公共交通の活性化及び再生に関する法律が施行され,各地の市区町村で「地域公共交通総合連携計画」の策定が進んでいる.そこでは「公共交通空白(不便)地域」の存在が課題とされたり,その解消が政策目標とされる場合が多く見られる.しかし公共交通空白地域を数値で定義した事例は少数であり,同地域の現状を定量的に分析した事例はごく少数である.本研究は,2010年春季大会での発表に引き続き,公共交通の利用しやすさ・しにくさを定量化する「日本版PTAL指標」を用いた分析例である.今回は奈良県奈良市を対象に,既存の比較的多く見られる公共交通空白地域の定義による定量化と,ロンドン市交通局による定量化の両方を行ない,結果を比較検討した.