日本地理学会発表要旨集
2011年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: 211
会議情報

鹿児島湾奥沿岸における完新世海成段丘と地殻変動
*森脇 広, 奥野 充, 大平 明夫, 松島 義章
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
鹿児島湾奥沿岸には,完新世海成段丘が広く分布する.この発表では,北岸の国分平野を中心として,隼人面と呼ばれる最上位の面の高度分布と構成物質,テフラ・C-14年代・考古遺跡に基づく形成時期から,姶良カルデラを中心としたドーム状隆起と隼人面との関係を検討する.本地域で指標としたテフラは,平野の全域が分布範囲に入る鬼界アカホヤ火山灰(K-Ah;7,300 cal BP)と北西岸にある桜島-P5テフラ(約4,600 cal BP)である. 姶良カルデラ周辺の隼人面の高度分布はこれまで旧海水準高度分布から推定されてきたドーム状隆起の様式とよく調和している.姶良カルデラ北縁にある国分平野では,隼人面は平野西側の約15mから東側の約5mまで低下する.この高度低下は平野を形成した天降川と直交する.これまでのボーリング資料解析に加えて,今回新たに行った平野の西側でのボーリングコア解析から,西から東へのK-Ahの高度減少が認められる.この高度変化は,堆積物の古環境解析からみるとK-Ah堆積時の水深差だけによるもではなく,地殻変動も影響していると考えられる.K-Ahの高度低下は隼人面のそれと調和しており,隼人面の高度分布にこうした傾動が反映していると考えられる.姶良・加治木平野での今回の新知見は桜島-P5テフラを隼人面上から見出したことである.このテフラは隼人面の中部付近で陸上堆積しており,4,600 cal BPごろには隼人面の離水は,これよりさらに海岸側にまで及んでいたことになる.段丘面の高度はこの平野の中では顕著な変化はない.甲突川平野は,北部は完全に段丘化しているが,南部は離水途上の段丘面となる.これまで旧海水準の資料から南北の傾動が推定されており,段丘化の違いはこうした傾動を反映しているといえよう.湾奥沿岸全体をみると,隼人面は,姶良カルデラ北縁の国分平野では海岸にほぼ平行して西から東に向って低下し,北西縁の姶良・加治木平野では,高度変化は小さい.南西縁の甲突川平野では北から南に低下する傾向にある.全体としてこの面は,K-Ah降灰時ごろに離水を開始した.隼人面形成の終了時期は変動量の違いによって差があるとみられ,考古遺跡との関係で特定されている姶良平野では縄文後期(3000~4000 cal BPごろ)である.国分平野は明確ではないが,姶良平野での時期やK-Ahの深度からみて縄文後期ごろであろう.甲突川平野では隆起量の小さい南部では離水が完全には終了していない.
著者関連情報
© 2011 公益社団法人 日本地理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top