ドイツの港湾研究の第一人者であるHelmut Nuhnの2つのレインジという観点について紹介し、これを実際の港湾研究において、どのように応用するかについて考察した。これと並行して、フランス近世史の深沢克己による港湾都市研究についても触れ、沿海岸港と河口内港に分けて考察することの意義は、特にドイツの港湾研究においても有効であることを実証した。ドイツの港湾研究において、後者が軽視されてきたことが、ドイツの港湾の全体像を把握することを困難にしていると思われる。エルベ川、ヴェーザー川、トラーヴェ川、ヴァルノウ川の河口部と上流部で、それぞれ港湾機能の変化について比較するという南北方向のレインジを新たに提唱したい。